育児休業

育児休業に入る不安

厚生労働省が昨年度、小学4年生未満の子どもの育児を行いながら仕事をしている人を対象に行った調査で男性の正社員が育児休業を取得しなかった理由についてきいたところ、以下のようになっています。

▼「収入を減らしたくなかった」39.9%。
▼「職場が育休を取得しづらい雰囲気だった」または
 「会社や上司、職場の育児休業取得への理解がなかったから」22.5%
▼「自分にしかできない仕事や担当している仕事がある 22%
▼「残業が多いなど業務が繁忙であった」21.9% など

収入面での不安

育児休業中に給料が減ることは、育児休業を取得するかどうかを決めるにあたり一番の不安点でした。育児休業中に収入が減少することは、多くの親にとって懸念される問題です。

しかし、給料自体は産休・育休中は、給料は支払われないことが多いようです。法律で定められた”労働者の権利”ではあるものの、給料の支払いについて規定はありません。

一方で、条件を満たすともらえる手当金があります。育休期間中、育児休業給付金として6カ月(180日)間は休業開始時の賃金の67%が、その後は育休終了時まで50%が支給されます。受給手続きは会社が行います。
雇用保険の加入者であれば、雇用形態にかかわらず誰でも受給できます。

現在の給付率は休業前の賃金の67%で、社会保険料が免除されるため、手取り収入は実質的には8割となっています。

また、2025年には14日以上取得した場合は休業前の賃金の80%程度に引き上げ、手取り収入が実質的に10割となるようにするよう動きが出ており、収入面ではより手厚い制度となります。

取りづらい雰囲気?そもそも取得してもいいのか

2023年3月、首相は、男性育休取得率の政府目標を大幅に引き上げ、2025年度に50%、2030年度には85%とすることを表明しました。従来の2025年までに30%、2030年度に50%まで増やすという目標を前倒しする形となり、国策として男性育休の取得を推進していく姿勢が感じられます。

また、2023年4月より従業員1000人超えの会社は、男性従業員の育児休業取得率の公表が義務化されました。有価証券報告書への記載も義務づけられるなど、企業にとって、自社の男性の育休取得率は開示情報として重要な位置付けになりました。

政府や企業による支援もあり、出産や子育てを理由に離職する女性が減ったことで、現在では共働き世帯は7割を超え、今や共働きは当たり前になっています。また、働き方や価値観の多様化で、積極的に子育てをしたいという男性も増えています。「仕事やキャリアと子育ての両立」は、今ではママだけではなくパパにとっても重要なテーマとなりました。